微妙な相続財産の範囲
Q 今日は微妙な事案で悩んでいまして、ご相談に伺いました。
A そうですか?お悩みは早く解決したほうがよいですね。どうぞ、どうぞ。
Q 実はテナントさんが暫く外国出張するもので家賃をまとめて先払いされました。
その前受け賃料を今回の父の相続財産の相続税の計算上、債務控除出来るのでしょうか?
A 成程、若干微妙ですが、相続税法で債務控除に関する計算の規定が第13条及び14条にあります。
被相続人の財産から控除すべき債務の額は被相続人に帰属する債務で、相続開始の時点で現に存在するものをいい、また確実性の裏付けがあるもの、かつその控除すべき額はその時の現況による旨が規定されています。
Q そういうことですか、なかなか厳しい計算の規定ですね。
A そうなんです。解釈によってどうにでもなるようですと収拾がつかないからです。
今回、不動産等に係る前受け賃料が債務控除計算の対象となるかどうかに関してですが、その前受け賃料の対象となった賃貸物件(不動産)を相続した相続人は、この相続に係る被相続人が締結した賃貸借契約に基づいて、この物件をその相続後も引き続いて同じ条件で賃貸を継続すべき義務(債務)を被相続人から承継することになります。
しかし、既に支払期日が到来して被相続人に支払われた前受け賃料の未経過分相当額の金銭を返還すべき金銭債務はこの相続の開始の時点で被相続人に帰属していない債務を承継する余地はありません。
今回の相続税の申告において、被相続人の債務控除の対象になりません。
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