土地の有効活用による相続税対策(貸家建築)
地主の相続税対策として、よく土地の有効活用ということがいわれ、代表的な方法が遊休地あるいは自宅敷地の余裕部分にアパートやマンションなどの貸家を建てる方法で、いまや相続税対策の常套手段ともなっています。
たしかに不動産経営の採算がとれるのであれば、この方法は非常に効果的です。
その効果は以下の4つです。
1 小規模宅地の特例が使える
空き地などに貸家を建てると、その土地は事業用宅地(貸付用宅地)として「小規模宅地等の特例」の適用対象になります。その土地に特例を適用すれば、200㎡までの部分について50%引きで評価することができます。
この特例はマイホームの敷地にも適用されますが、適用対象となる宅地の種類(価額)や面積が増えることで、もっとも有利な形を選択し、特例のメリットを最大限にいかすことが可能になります。
2 土地の評価が下がる
自宅の敷地や空き地、青空駐車場など、地主が自由に利用できる土地を「自用地」といいます。28ページの財産評価のところで紹介したように、自用地にアパートやマンションなどの貸家を建てると、その土地は「貸家建付地」となって評価が下がります。
減額の割合は「借地権割合×借家権割合」です。借地権割合70%の地域であれば(借家権割合は30%)、自用地の21%引きになります。
3 建物の評価減がとれる
たとえば建物の建築費用として2億円かかったとしましょう、建物の相続税評価額は固定資産税評価額と同じで、建築費用のおおむね60%程度となります。
さらに、アパートなどの「貸家」は自用家屋の70%で評価されます。したがって、建築費1億円の貸家は、最終的に8400万円の評価なるのです(約60%の減額)
ところで、2億円の現金を出せる人はそう多くはなく、たいていは建築費用の一部または全部を銀行からの借入金でまかないます。借入金は債務控除として相続財産から控除できますので、前述の現金を支出する場合と同様の効果が出ます。
4 納税資金の用意ができる
アパートやマンションの家賃収入により、相続税の納税資金を用意できます。
収入が増えればそれだけ相続財産も増えますが、換金性の低い不動産の評価額を抑え、一方で現金収入を得るのですから、積極的かつ効果的な手段といえます。
また、収入の一部を原資に生命保険に加入したり、子どもに納税資金として生前贈与するなどの方法も考えられます。
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