家業を承継する長男だけに財産を引き継ぐための遺言
家業を承継する長男に事業資産を集中させる場合、兄弟間の遺産分割協議が焦点になります。
民法では、きょうだいは均等に相続することになっていますが、事業用財産を分割してしまうと経営が成り立たなくなるという問題があります。
そこで、後継者である長男に事業用財産をすべて相続させる意図の遺言書が必須となります。しかし、他のきょうだいには遺留分がありますので、これだけでは不十分です。遺留分相当の財産が事業用以外になければ、長男が他のきょうだいから遺留分を請求されれば、事業用に財産を売却する、あるいは共有にしなければなりません。
こうした事態を避けるために、「遺留分の放棄」という手段を使うことが可能です。これに遺言があれば、事業用財産を確保することができるのです。
その他に、経営承継円滑化法により平成21年3月1日から施行された「遺留分の特例制度」を利用し、贈与した自社株を遺留分の対象から除外するという方法も検討するといいでしょう。
なお、子どもたちが相続放棄を約束したとしても、生前の相続放棄は法的効力がありませんので注意しましょう。
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